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平成23年9月26日月曜日

苦難の船出となった「FINAL FANTASY XIV」。開発/運営は問題をどう考え,今後どう対処するのか

 9月30日に正式サービスがスタートしたMMORPG「FINAL FANTASY XIV」(PC版)。ファイナルファンタジーファンはもちろん,プレイヤーから大きな期待を受けて,満を持しての登場となったはずの本作だったが……,ご存じのとおりプレイヤーからの反応は非常に厳しいものが続出し,嵐の船出となってしまった。


「FINAL FANTASY XIV,The Lodestone」公式サイト

「FINAL FANTASY XIV」公式サイト


なぜ,そうなってしまったのか。本作を未プレイの人も,4Gamer読者レビューやネット上のさまざまな情報は追っていると思うが,筆者のプレイ経験か らも,これらの批難の大半は大げさなものではなく,事実として存在する(していた)ものである。もちろん,中には不毛な煽りもあるのだが……それを差し引 いても,プレイヤーを満足させられる出来であるとは言い難いのが現状だ。

いくつかある大きな問題点の中でも,とくにはっきりとしているのは,非常にストレスを感じる“ユーザーインタフェース”(以下,UI)だ。何をするにも,動作が緩慢であり,かゆいところに手が届かない。慣れてしまえば……と思えることはあるが,そのハードルはわりと高い。
次に,オンラインゲームでは付きものとはいえ,断続的に続けばまともに遊べないため影響が大きくなる“ラグ”である。とくにアイテムのやりとりにおいてこれは顕著で,動作の遅いUIと相まって,とにかく作業が終わらない。とくに,日本人の多いサーバーのピークタイムでは,戦闘時のラグはもちろん,街中でもウルダハの開かずの扉は有名。
そして,スクウェア・エニックスの“開発/運営方針”に疑問を持つプレイヤーも少なく ないようだ。多くの不満が持たれている仕様や不具合の中には,βテスト時点ですでにプレイヤーから報告されていたものも多い。しかし,実際に9月22日の 先行プレイが始まってみれば,それら問題が多く噴出し,その都度修正を行うという状況だった。このように,いろいろなものが後手後手に回っていることがプ レイヤーの大きな不満となっているわけだ。

これに対してスクウェア・エニックスは,10月15日に公式サイト「FINAL FANTASY XIV,The Lodestone」において,11月下旬/12月中旬の2回にわたって大型アップデートを実施すると発表(関連記事)。しかし,その発表で公開されたアップデート項目については,プレイヤーから「βテスト時に対処しておくべきものでは?」という意見が多かった。

そういった経緯から気になるのは,スクウェア・エニックスは問題をどれだけ認識し,今後どうしていこうと考えているのだろうか,ということだ。 4Gamerでは,これまでや現状の問題点をまとめ,10月22日の時点でスクウェア・エニックスに質問を投げかけてみた。もちろん,今回掲載した質問だ けがすべての問題点ではないが,すべての疑問への回答を望むことはできないので,現在より多くのプレイヤーが気にかける大きな部分を優先させてもらってい る。
前置きが長くなってしまったが,上であげたプレイヤーがもっとも接する部分であるUI(クライアント仕様),ラグ,開発/運営方針,そしてこれからどうするのかということを中心に回答してもらったので,プレイヤーは,その内容を確認してみよう。




――Crysta利用規約について,自動課金がデフォルトの“有効”ままだと,仮にWebmoney等の残高が0でも,アカウントの停止ではなく自動課金が行われ,遅延損害金の請求がくるという不安がプレイヤーの間であります。

A:
クレジットカードやWebMoney等でチャージしたCrysta残高がアカウント継続のための利用Crysta数に足りなかった場合、契約終了日で自 動解約となり、契約終了日以降の利用料金が請求されることはありません。Crysta残高に自動継続が行えるだけの残高がある場合のみに、翌30日の契約 が行われます。(1円でも足りない場合は、全解約となります)
規約本文中の滞納、が意味するところは、クレジットカード支払い等でCrystaを購入し、クレジットカードの決済日に決済処理がうまくいかなかった場 合に、すでに使ってしまったCrysta分の決済ができなかった代金には、遅延損害金が発生することがあります、ということです。
決済は前払いの原則で運用しておりますので、チャージバック等の特殊な処理(クレカ支払い拒否等)を行わない限り、遅延損害金がユーザに課せられることは無い仕様となっております。
いずれにしてもコミュニティで言われているようなことは一切ありません。(オンライン事業部、情報システム部


――正式(先行)サービス開始前のサーバー名公開が,いわゆる日本人サーバーとして一極集中の原因となり,負荷につながったのではないでしょうか?

A:
ワールドサーバーは各数万キャラと極端な偏りなく、ほぼ理想に近い形で分散できています。サーバー名非公開は番号で認識できる以上、「2鯖」などと呼ば れるだけで、意味がありません。完璧にやるならば、ランダムでの振り分けになりますが、プレイヤーの利便性を損なうだけです。
現状は特定ワールドへの集中が問題なのではなく、特定エリアへの集中が問題です。分散さえすれば今の数倍の同接数でも問題はありません。エリアサーバー のプログラムの処理負荷の問題なので最適化をさらに進め、エリアを分割するなどサーバーをさらに増強します。なお現在は、ほぼラグは解消し緩和が見られて います。ある程度緩やかな言語別のワールドの偏りはとくに否定しておらず、プレイヤーの自由に任せています。


――CBT/OBTを通して言われてきた不具合が,ほとんど修正されずにPC版が発売されるなど,対応があまりにも後手後手ではないでしょうか。

A:
寄せられた多数の意見/要望から統計を取りながら、重要なものを開発にも伝えています。そのうえで、作業の優先順位を付けて行っていますが、β期間中では最後までバグ取りを優先してしまいすべてに応えることはできませんでした。
また、当初は優先順位を低く設定していたものが、正式サービス(先行プレイ)以降、すごく大きな問題だということが発覚したものもありました。プレイヤーのみなさんの意見/要望に対して、認識が合わせられていなかったことに反省しています。


――多数の問題を解消するためにアップデートが行われると思うが,それらのデバッグのために「EverQuest」や「World or Warcraft」などのようにプレイヤーに開放されたテストサーバーを立ち上げることはありませんか?

A:
非公開ではすでに複数台あり、開発とQAチームはそちらで日々デバッグを続けていますが、一般公開はしていません。
他社のテストサーバーについては、参加してレポートを返してくれる一部のプレイヤーからの意見吸い上げとしては有益ですが、デバッグ目的としてではない という情報を聞いていますし、実際にテスターの方も先行プレイ以外のバグ取りにつきあうのは嫌う傾向があります。またバージョンの異なるクライアントを二 重にインストールする必要があるため、プレイヤーの環境をかなり圧迫する上、PS3版ではそもそも参加が不可能です。
テストサーバーを一般公開することの弊害としては、先行して情報を得た一部のプレイヤーが特定アイテムの買い占めなど金策に走り、RMT業者などのター ゲットになることが考えられ、コミュニティへのダメージは計り知れません。そうした情報を細かくマスクしながら開発を続けることは開発スピードの著しい遅 延を招くうえ、逆にバグなどの発生源にもなりうるためかなり運用が難しくなります。
なお今後の新機能の追加に際しては、フォーカスグループなどの運用によって意見を収集し反映していく予定です。


――最近のMMORPGは,WoWのようなUIが主流となっていますが,FFXIVのシステムからはそれら の影響があまり感じられません。ワールドワイドでリリースするにあたって,これは勇気の要る判断だと思うのですが,FFXIVのシステムをここまで独自仕 様にこだわった理由とは?

A:
現在のUIはFFXI同様コンソール機のコントローラーとマウス・キーボードとの間での操作の互換性という観点で設計されています。本来はこれらのデバ イスでの操作は個別のものとして両対応でそれぞれ実装される必要がありましたが、基本設計に問題があり、開発がそこまで手がまわらなかったというのが実情 です。XIのようにコンソール先行でリリースされた場合と異なり、今回はPC先行となったためにマウスでの操作性の悪さが際立つ結果となりました。PCの MMORPGで主流であるオペレーションと比べると、とくに海外のプレイヤーから使い辛いと言われています。
その中でよく言われる部分が階層分けで、コントローラーであればボタンを押して階層を進んでいくことは当たり前ですが、マウス操作であれば1発で目的の 情報にたどり着けることが理想です。それができていないことが最大の問題だと認識しています。またターゲットに対するアクションがシステムメニューとし て、UIデザイン上メインメニューと同階層に統合されてしまっているように見えることも気持ち悪さの原因と思われます。
解決策としてはなるべく早い内に、現状のコントローラー主体の操作系とは別にマウス専用のUIを作るしかないと考えて開発を続けています。

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